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★CDプレーヤー
(このページの製作者は 頭蓋調整、その他治療 のプラクティショナーです)
CD−10 ( NEC )
虚飾を排したスッキリしたデザイン、私は気に入っています
1、CDプレーヤーの登場
CDプレーヤーが、全くの新製品として市場に登場したのは1982年頃だったと記憶しています。
しかし、初期の製品を購入する気は全くありませんでした。
私は元々機械設計技術者ですが、新しい製品は必ずしも本質的な良さを持っているとは限らない気がして、いわゆる新技術に飛びつく事は殆どありません。
これは、カメラや車についても同様で、カメラはオートフォーカスの一眼レフは購入しないままデジタルカメラに移行してしまいましたし、車も1982年式のFRを長年乗りつづけています。
(デジカメも新製品に弾かれる事は殆どありません)
更に、CDの様な全くの新しい規格の製品は市場に出た当初は技術的に未成熟であり、購入するのであれば、ある程度成熟してからの方が無難だと言う思いもありました。
また、1982年頃には、アナログの最期を飾ったスーパーアナログレコードプレーヤーが各社から発売され、消え行く前の蝋燭の輝きのような状況を呈していました。
そこで、この年の暮れには、日立Lo−D のスーパーターンテーブル(TU−1000)とテクニクスのトーンアーム(EPA−100)を購入し、最期のアナログに入れ込んだりしていました。
事実、ここからの数年は、都内の中古レコード店に行くと、LPからCDに乗り換えたマニアが放出したと見られるヨーロッパプレスのクラッシックレコードが大量に並んでいて、漁るように買い集めた事を憶えています。
2、最初に購入したCDプレーヤー
最初に購入したCDプレーヤーはソニーのCDP502ES、1985年の事でした。
CDも開発から3年が経過し、ようやく技術的にも安定して来た感じを持てたからです
このCDプレーヤーは動作がキビキビしていて気持ちが良く、音もハイスピードな感じで気に入って使っていました。

CDP−502ES ( SONY )
3、CD−10の購入
ある時、オーディオユニオンの千葉店で中古のCD−10(NEC)を発見。
定価¥100000−に対して売価¥35000−、あまりの安さにびっくりして購入。
CD−10は、確か1990年頃の発売で、発売から数年後に中古で購入した事になります。
その頃はまだ現役の商品であり、長岡鉄男氏がリファレンスとして使っていたので気に成る製品ではありましたが、購入するまでは至らない状況でした。
それにしても、¥35000−と言うのは格安で、長岡鉄男氏の推薦であっても、NECのブランドイメージを覆す事は困難だった様です。
早速502ESと比較視聴、これは一聴して音の輪郭のしっかり感、情報量、共にCD−10の勝ちで、すんなりと入れ替えが完了しました。
しかし、CD−10はもの凄い潜在能力を持ったプレーヤーで、使いこなしや簡単な改造で音質は飛躍的に向上し、最終的には、MC−L1000(カートリッジ、ビクター)を中心としたアナログレコードプレーヤーシステムと酷似した、部分的にはCD−10の方が勝っている音調に発展して行きました。
私の場合、アナログシステムにしても、プレーヤーやトーンアームを無造作に組み合わせただけでは無く、十分に吟味を重ねてチューニングしたシステムですので CD-10の潜在能力の凄さを痛感します。
購入価格としては、恐らく、1/10以下のCD−10がアナログを部分的に凌いでしまうと、少し悲しい感じもしましたし、逆に言うと、物理特性重視のハイファイを指向するのならば、もうアナログの時代では無いと痛感した記憶があります。
4、CD−10の使いこなし
CD−10の音ですが、ポンとラックに入れたままでチューニングが未対策の状態では、MC−L1000と比較しても、情報量、音の厚みで完敗の感じでしたが、スピード感だけは勝っている感じでした。
しかし、音の傾向としては共通するものがありました。
以下、使いこなしを説明します。
@、がっちりしたラックにガタ無しに設置します
A、電源の極性をチェックし好みの方向性に合わせます
B、接続ケーブルの方向性を好みの方向に合わせます
C、アンプに接続する機器の数は最小限にとどめます
(アンプに複数の機器を接続すればするほど、音の鮮度は失われます)
★以上の項目は、全てのオーディオ機器に当てはまる使いこなしの基本です。
この部分に注意を払わないと大元のところでクオリティが低下し、チュ−ニングの差が出にくくなります。
D、ウェイトの追加
長岡式使いこなしの第一歩は、天板の上のウェイトの追加です。
私の場合、天板の両サイドの剛性の高い部分に鉛のインゴットを載せ、天板の中央部分にはPタイルを載せて共振を防いでいます。
但し、ウェイトの付加が効果を出すためには、前述の高剛性のラックにガタツキ無しで収納されている事が必須となります。
E、インシュレータ−の追加
ブチルゴムと銅板を積層に重ねたインシュレータ−を脚とラックの間に入れます。
この対策により、周波数レンジは上下に伸び、高域は抜けが良くなり、低域は音程が明確になります。
鉛のインゴット 銅板とブチルゴム積層インシュレーター
地金屋さんより購入、割安でした 自作ですが、手間がかかります
F、接続方法
CD−10のアナログ出力は、4DAコンバーターの完全バランスタイプです。従い、ピンピンケーブルによるアンバランス接続では、能力の半分しか使っていない事になります。

CD−10のリアパネル、内部の構成をストレートに表しています
★ C−280Vとの接続は、自作キャブタイヤケーブルによるバランス接続 ★
私の場合、プリアンプが完璧なバランス構造のC−280V(アキュフェーズ)であり、CD−10をC−280Vと組み合わせるのであれば、原理的にもバランス接続によるバランス作動の方が優れている事になります。
事実、ピンピンケーブルからバランスケーブルに交換すると、音量が2〜3dBアップする感じで、情報量、力強さも一聴して向上しました。
バランスケーブルは、キャノンプラグと2スケ3芯キャブタイヤケーブルにより必要最小限の長さに自作しました。バランスケーブルの場合、ケーブルの方向がキャノンプラグと結線する時点で決まってしまうため、ケーブルの方向性を確認してから結線を行ないました。
これは重要なポイントで、この方向性が逆だとクオリティはかなり低下します。
(因みに、私の元職は電子部品の組み立て機械の設計で、コネクターとケーブルの結線機の設計も担当していました。)
一つ疑問な事は、長岡鉄男氏はサブシステムとしてCD−10とB2103(サンスイ)の組み合わせを長年を使っておられましたが、この接続にはアンバランスを使われていました。
B2103はC−280V同様に完全なバランスアンプですから、私の経験ではバランス接続の方が有利だと思います。
この件に関しては、バランス接続可能を売り物にするアンプであっても内部はアンバランス構成の場合が多く、アンバランス構成の機器をバランスで接続すると変換回路を経由する事になり、かえって音の鮮度が失われるケースが考えられ、『 長岡鉄男氏が使っているから 』と言う理由で安易にバランス接続が使われる事を恐れたのでは無いか、と勝手に想像している次第です。
G、脚のチュ−ニング
長岡式使いこなしでは、脚のチューニングも大きなウェイトを占めます。
CD−10のオリジナルの脚は焼結合金製で1ヶ305gとずっしり重く、コストもかかっており、一見きれいなプラスチック製の脚とは一線を画します。
しかし音のキャラクターはこの脚の影響を受けており、脚のチューニングで音調が変化します。
まず、簡単に出来ることは、脚とシャーシーの間に針金の環を入れ、脚からシャーシーを浮かせて見る方法があります。
焼結合金製の脚、350gとヘビー級 銅線の環
キャラクターがあります 脚と本体の間に挟み、振動モードを変えます
★ 環を挟む事により、音離れが良くなり、躍動感が出ました ★
これは脚とシャーシーが面接触の場合、変調歪みの発生の可能性があり、面接触から線接触に変える事により振動モードを変更してみる意図です。
針金の材質も、銅、ステンレス、アルミ、鋼と色々考えられ、それぞれで音も微妙に変わると思いますが、手許にあった銅線を使ってみました。
私のシステムの場合、この改造により、解像度がアップし、音離れが良くなり、オリジナルの脚のキャラクターは低域が少し重苦しくて躍動感に欠けて居た事が感じられました。
しかし、この場合のマイナスの要素として、音が若干軽くなる感じもありました。
もう少し重い方向に戻すのであれば、針金の環をバイスで挟んで潰し、同じ線接触であっても線の幅を僅かに広くする方法により、調節する事が可能です。この様にして微妙なチューニングが可能ですが、この事はCD−10の潜在能力の高さを物語っていると思います。
更なる改造としては、焼結合金からアルミの削り出しに交換してみると、線接触に比べて、しっかり感、抜けの良さが更に僅かに向上します。
ただ、コストパフォーマンスは針金の環の方が上の様で、脚を交換するのであれば、次に述べる5本脚への改造をお勧めします。
H、脚の追加
CD−10の底板は、対角線の交点より少し後方に3本脚として使用するためのネジ孔が加工されており、このネジ孔を使って5本脚への改造が可能です。
この場合、センターの5本目の脚は別の新しい脚でも可能ですが、全部同じ脚に交換すると気持ちが良いです。インシュレータ−も5個必要になりますが。
また、オリジナルの脚は2本のネジで固定されていて、これをネジ1本による固定に変更すると、どちらのネジ孔を使うかで脚の位置が若干ですが変わります。
この辺りは、バランス感覚で決めましょう。
私のシステムでは、5本脚への改造により、空間の定位が更にピンポイントでハッキリし、音の陰影が見事に現れ、ソフトに依っては正にホログラフィーの様な空間が出現しました。
また、5本脚の場合は、ウェイトの追加が更に効果的な感じがしました。
使いこなしの結果
以上の対策で、CD−10はアナログのMC−L1000とかなり似た感じの音調に進化し、勝っている部分も感じられます。
ただ、拙宅は木造2階建で、私の部屋はその2階ですのでアナログにとってはあまり条件はよくありません。
長岡鉄男氏のリスニングルーム(箱舟)のように、コンクリート基礎の床でしたら、やはりアナログの勝ちだと思います。
5、今後の展開
CD-10はハイCP機であり、デザイン的にも気に入っていますが、10年以上前の普及価格帯の製品です。
CDについては新しいフォーマットも提案されているようで、現在普及しているタイプのハードの開発は一段落しているのでは無いでしょうか。
その意味でワンランク上の製品へのグレートアップも考えられますが、私の中でのオーディオに対する情熱が頭打ちであり、同時にC-280Vと組み合わせるのであれば、バランス回路のCDプレーヤーを使いたいとの思いもあり、現状維持が続いている状態です。
ただ、更に古い機種になってしまいますが、完全バランスタイプの高級機であるヤマハのCD-1は気に成る機器ではあります・・・・・。